[介護 派遣 給料]相場は?
介護職員で派遣社員と正社員を比較すると、派遣社員の方が給料が高くなる可能性があります。
厚生労働省の発表した平成29年度介護従事者処遇改善状況調査によると処遇改善加算(Ⅰ) 取得した場合は以下の給料となりました。
- 介護職員全体の平均給与は297,450円
- うち、基本給 179,560円
- うち、手当 71,570円
- うち、一時金(賞与) 46,310円
これは一番待遇の良い場合です。
一方、介護 派遣社員の給料相場は1,400円程度です。
フルタイム 168時間、交通費5000円、夜勤 5回勤務と一般的な介護正社員と同じ勤務体系でシュミレーションしました。
項目 | 介護 派遣 給料 |
給料 | 235,200円 |
交通費 | 5,000円 |
夜勤手当 (1回5000円) |
20,000円 |
深夜割増時給 25% 1日6時間 350円 |
10,500円 |
合計 | 270,700円 |
一番待遇の良い介護 正社員の給料平均が297,450円なのでほとんど変わらない給料になります。
夜勤手当、時給が高い施設もあるので正社員以上になる可能性が高いです。また夜勤専従であれば月30万円以上の給料も狙えます。
[介護 派遣 給料]正社員よりも高い理由
介護派遣の給料が高い理由
- 採用コストが含まれているため
- 人員配置基準を満たす必要があるため
- より良いサービスを提供するため
理由1:採用コストが含まれているため
派遣の時給が正社員よりも高い理由は採用コスト、社会保険料が反映されているからです。
介護施設でフルタイムやパートアルバイトを募集かけようと思っても採用できません。
「介護サービス事業所における従業員の過不足の状況」では、採用が困難であると答えている施設が88.5%でした。
派遣であれば、依頼コストは発生せずに派遣料金として支払えば良いです。
また、派遣は有期雇用なので施設の人材ニーズにも対応できます。介護施設として急な対応にも応じれてるため介護派遣の給料は高いのです。
より細かな話は以下の記事で紹介しています。
参考[介護 派遣 時給]相場は?高時給な派遣会社の見分け方と時給アップ交渉術
理由2:人員配置基準を満たす必要があるため
介護施設は介護保険法により職員の人員配置基準が定められています。
具体例を挙げると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、介護・看護職員を3:1で配置しなければなりません。
介護施設の報酬は単位を加算・減算されていきます。
介護士越の人員配置で厳しいものが「定員を超えた利用や人員配置基準に違反」で-30%減算されます。

By: 厚生労働省
介護職員の退職などで人員配置基準以下となれば介護報酬が30%減となります。早急に人員を集めなければならないため高い派遣料金でも人員を確保するのです。
人員配置基準違反で減額された事例

By: 厚生労働省
指定取消・効力の停止処分のあった介護保険施設は平成26年で212事務所です。
指定の効力の停止事由では、人員配置基準違反がトップ3に入っていました。
具体的な事例があるので紹介します。
減算事例:通所介護事業所(利用定員:15 名,営業日:月~土)
当該事業所の看護職員の配置は,常勤の看護職員(週 5 日勤務)と非常勤の 看護職員(週 3 日勤務)の 2 名だったが,非常勤の看護職員が退職し,常勤の 看護職員 1 名のみの配置となった。人員基準上,看護職員はサービス提供日数 に応じた配置が必要であるが,看護職員は週 5 日しか配置されておらず,看護 職員の人員基準欠如となった。減算が行われた期間は,人員基準欠如が発生し た翌月から解消に至った月まで,減算の額は,利用者全員について所定単位数 の 30%とした。また,サービス提供体制強化加算など一部の加算について,同期間は算定不可となった。
人員配置は11以上の場合は、1人必要です。
月曜日~土曜日まで運営する通所介護事業所だったので週5日勤務の看護職員だけだと1日不足する日にちがありました。このため、「サービス提供日数を減らす」「人員配置を満たす介護職員を採用する」必要がありました。
これを怠ったため介護報酬を減額されました。
こういった事例を防ぐためにも急な人員確保のために高い派遣料金でも活用するのです。
理由3:より良いサービスを提供するため
最後はより良いサービス提供するために人員を確保するからです。
介護施設では人員配置基準以上の介護職員を配置することで人件費削減、介護料が増えます。
職員配置が少ない施設だと、スタッフの負担も多くミスや仕事量の多さから満足のいくサービスが提供できなくなります。介護職員への適切な教育もできませんし、退職されると採用コストで人件費が余計にかかってしまいます。
人員配置を多くすることで結果として人件費を削減できます。
また、手厚い人為配置では介護料を上乗せして受領できるのです。
上乗せ介護サービス利用料
特定施設入居者生活介護事業者において次の①または②を満たせば上乗せ介護サービス利用料を受領できます。
- 要介護者等が30人以上の場合
看護・介護職員の人数配置が2.5 : 1以上 - 要介護者等が30人未満の場合
看護・介護職員の人数配置が2 : 1以上
参考特定施設入居者生活介護事業者が受領する介護保険の給付対象外の介護サービス費用について
上乗せ介護サービス利用料は利用者の全額負担ですが、安全・安心面から選ばれる人もいます。
職員体制2.5:1以上の施設は評判も高くなるため付加価値として提供する施設も多いです。
そのため、介護職員の人員確保として派遣を利用しているのです。
介護 派遣社員と正社員の違いとは?
給料の違い
正社員:資格手当・ボーナスがある
正社員は、月給制また年俸制が基本です。基本給+諸手当というような給与体系で年2回の賞与がある施設が多いです。介護職員の平均給料は約29万円で賞与込みで年収約350万となっています。
介護士の給料は低めの設定ですが、経験年数に合わせた昇給に加え厚生労働省による介護職員の処遇改善加算による賃上げが確定しています。平成28年度の調査では前年対比で9,530円月給が上がっています。
派遣:比較的高い時給で働ける
派遣社員の給料は時給制が基本です。ボーナスはなく、福利厚生は派遣会社の規定となります。正社員の月給は経験年数による昇給で上がりますが、派遣では保有資格(スキル)によって時給が変わります。
介護職員の時給の例を挙げると次のような時給体系でした。
求人例
- 無資格 時給 1,130円~1,350円
- ヘルパー2級・初任者研修 時給 1,250円~1,400円
- 介護福祉士 時給 1,400円~1,500円
介護派遣はボーナスがないことから正社員よりも低い給料になりがちですが、夜勤専従の働き方などを選べば正社員よりも高くなる可能性があります。
勤務時間・残業の違い
正社員:施設都合の残業、夜勤が多い
特別用語老人ホームや小規模多機能施設などの場合は、夜勤勤務が発生します。そのため、介護施設のスケジュールに合わせたシフトを組むため月5回程度の夜勤があります。
トラブルが起きた場合や、イベント準備などで定時に終わらずに残業が多くなります。
また、パートや派遣が休んだ場合は急遽シフトを正社員で埋めることも多いため休日出勤が多い傾向があります。介護職の正社員は人手不足を原因とする不満が50%を超え不満を抱えている人が多いです。
注意ポイント
介護職はサービス残業が当たり前の世界です。定時で帰れず残業も2時間までと制限されていることが多いため、介護士の多くは不満を抱えています。(もちろん、サービス残業は違法です)
派遣社員:勤務時間を選べて、定時で帰宅できる
介護派遣は、自分の希望する勤務時間に合わせて働く時間を決めれるため、希望の勤務時間で働けます。
派遣は残業が少なく定時で帰宅できます。
また、派遣社員は派遣会社が雇用主なのでサービス残業ができません。
派遣会社は派遣先の介護施設から派遣料金を受け取り、その一部を派遣社員をにお給料として支給しています。
派遣社員の残業は労働基準法違反であると同時に利益の損失に繋がるのです。
派遣料金は派遣社員の給料+派遣会社のマージンを含んでいるため、正社員の残業よりも高い人件費をかけることになります。施設側としては基本的には派遣社員に残業をさせたくありません。
そのため介護派遣の残業はあったとしても少なめです。
1日8時間、週40時間のフルタイムで働く派遣社員の残業は、時給の1.25倍の割増賃金となります。働いた分はきっちりお給料に反映されるのでちょっとしたボーナス気分になれます。
仕事内容の違い
正社員:イベント企画や運営、書類作成など幅広い仕事を任される
介護職の正社員の仕事は多岐に渡ります。
食事、入浴、排泄介助などから、レクリエーション、イベント企画、書類作成など、現場仕事に加えて、カンファレンス、利用者対応仕事も多く存在しています。
また、正社員では管理運営もキャリアにあるため、生活相談員やケアマネージャーでの職務もあります。
派遣:身体介助がメイン
派遣で働く介護士の仕事は利用者の身体介助がメインとなります。正社員のような介護以外の仕事はありません。正社員と比較すると狭い範囲の仕事内容となります。
介護福祉士までの資格を持った介護職員が求められます。
福利厚生・雇用の違い
正社員:安定性を重視している
正社員は、無期雇用のため施設側都合で解雇されません。福利厚生は会社・法人にもよりますが、社会保障完備、交通費支給、住宅手当あり、退職金ありと充実しています。
社会的信用度も高いため、ローンを組みやすいです。
派遣:交通費支給、社会保険、資格支援あり
派遣と正社員と決定的に異なる点は、有期雇用であることです。2ヶ月~3年の契約期間での勤務となり施設側の都合で契約解除となります。
(派遣先は契約解除となりますが、別の派遣先を紹介してもらえます。)
福利厚生は、派遣会社の規定になります。大手派遣会社だと交通費支給、社会保険あり、資格支援ありと比較的充実していますが、退職金制度などを用意していないので安心度では正社員より劣ります。
介護 派遣のデメリットには注意
介護派遣のデメリットは最大3年以内の有期雇用なことです。
正社員は一つの施設(もしくはグループ)で長年務めるため役職につける可能性があります。
キャリアアップできますが、派遣社員は有期雇用なのでそういったポジションにつけません。
もちろん、施設長や生活相談員などになれば給料も上がります。
つまり、介護派遣の働き方はどこかで給料の上限値があるということです。
より細かなデメリットも存在するため、派遣で働きたい方は以下の記事で細かく確認してください。
参考介護派遣のメリット・デメリット |登録前に実態を知っておこう
正社員と派遣社員ならどっちが良い?
正社員と派遣社員の違いを表で整理しました。
比較 | 正社員 | 派遣 |
給料 | ◎ ボーナス・昇給あり |
◎ 資格連動の時給制 |
勤務時間・残業 | △ 施設都合 残業多め サービス残業あり |
◎ 自分の希望優先 残業少なめ サービス残業なし |
仕事内容 | ○ 様々な仕事ができる |
○ 身体介護がメイン |
福利厚生・安定性 | ◎ 社会保険あ 諸手当 退職金 無期雇用 |
○ 資格手当 社会保障 有期雇用 |
どちらもメリット・デメリットがあります。
正社員なら任される仕事内容が多くキャリアアップできるでしょう。責任感のある仕事に取り組めるので、介護職として成長できるかと思います。
しかし、ここで紹介している内容は理論上のお話です。
賞与を含めると正社員の方が優遇される傾向にありますが、ひどい施設だとまともな賞与をもらえません。
ボーナス明細書をツイートするのはいかがなもんか?と問われたけど、こちとら介護士10年近く真面目にしてきて国家資格も取得した、ストレスが常にマックスに近い仕事、それなのに給料も手取り15万ちょい、ネタにでもしないとやってけないよ…というのが心理です。
— kou (@bitmu) 2018年12月9日
ボーナス出ました
役職・勤続5年・業界20年で手取り8万円減額理由は
①部下の遅刻・職員管理が出来ていない(電車遅延でしたが…)
②理事長から給料を頂いたから旅行に行けたのにお土産が無かった
③仕事を休み責任感が無い(インフルでしたが…)— はんにゃ (@orangegreen26) 2018年12月10日
2018年12月ボーナス期では上記のようなツイートが話題になりました。
もし似たような境遇であれば一度派遣で働くことを一つの選択肢に加えてください。きっと、手助けになるはずです。
また、介護福祉士の資格を持っていない方でしたら劣悪な施設ではなく労働環境を守られている派遣からキャリアアップをおすすめします。
介護福祉士の資格取得するまでは派遣がおすすめ
介護職の給料、仕事は取得している資格で変わります。無資格に比べて介護福祉士を持つ職員はおよそ4万円高いです。
介護初任者研修を取得してから正社員として働く方もいますが、施設都合のシフトで資格取得できずにいる方も多いです。
人材不足の介護施設では、正社員は安定性はあってもキャリアアップできる環境ではありません。
介護 派遣は正社員に比べてキャリアアップ環境が整っている
派遣は、施設都合のシフトではなく本人の希望を重視します。
例えば、日勤の9~20時の勤務時間を希望すれば勤務できる施設を紹介してくれます。
派遣は資格取得に関して積極的に支援しているので、自社運営の教室があればシフト調整してくれます。
資格取得と現場仕事での経験値を積むなら派遣社員が最も環境が整っているのです。
介護 派遣は派遣切りはほぼない
「派遣切りがあるのでは?」と心配されるかもしれませんが、介護施設では、従業員の不足感を感じており、採用活動に苦戦しています。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000075028.pdf
介護需要は広がり続けており、2025年には37.7万人の介護サービスの需要に対する介護人材の不足が最も不足すると予測されています。
そのため、派遣の介護職員は今後も変わらず求められるはずです。
[介護 派遣から正社員]キャリアアップや安定性目的で目指そう
介護福祉士を取得し、経験を積んだら、キャリアアップや安定性目的で正社員を目指しましょう。
様々な職場を体験すれば働きたい職場、働きたくない職場がわかるかと思います。
職場の中身を知らずに正社員として働くことで間違った常識を刷り込まれることもありません。
正社員として就職して働きたい職場を見つける上でも派遣にはメリットがあります。
派遣から正社員へ就職する際に紹介予定派遣という雇用形態があるので自分にあった職場が見つかるでしょう。
介護業界では正社員よりも派遣の方がメリットがあります。介護業界で働くなら派遣で様々な職場を見てくださいね。